こんにちは、八咲コンサルティングの村上です。
前回、税引き後簡易CFに加えて設備投資額を把握することで、
事業から生み出した現預金=税引き後簡易CF-設備投資額
に答えを出しました。
この金額は「借入金の返済原資」という見方ができます。
※本来は資本・借入問わず、「投資家」へのリターンの原資と言うべきですが、特に中小企業においては借入金の返済が重要となるケースが多いため、借入金の返済原資とします。
自社の借入金の返済額はどのくらいでしょうか。
これは管理資料からすぐ分かると思います。
事業から生み出した現預金額で年間の返済額を賄えていれば
問題ありません。
事業から利益を得て、その範囲で設備投資と借入金の返済を行えている
ということで、資金面で安定的に経営できていると言えるでしょう。
では、年間の返済額を賄えていない場合はどうか。
現預金を切り崩すか、担保余力があれば資金調達をかける、
あるいは長期借入金の返済の一部を短期借入金の調達で対応する、
といった状況ではないでしょうか。
現在のキャッシュ創出能力と借入金の返済ペースが見合っているかは
PLをただ眺めても分かりません。
これまで出た数字を実際に出してみて初めて分かります。
仮にPL上で多額の利益が出ていたとしても、
現在のキャッシュ創出能力以上の返済を続けていると
現預金が逼迫していきます。
もしこのような状況なら、取るべき道は二つです。
①キャッシュ創出額を増やす
②月々の返済額を減らす
①は利益を増やすか、設備投資を減らすかのどちらかになります。
すぐに着手できるのはコストカットで、
額は小さくとも現預金には累積で効いてくるので馬鹿になりません。
②は、資産売却等で借入金を圧縮する方法もありますが、
それも難しければ、金融機関にシビアな相談をするしかない場合もあります。
これまで三回にわたり、
事業からいくらの現預金を生み出したかについて述べました。
どれも簡単にできますので、
健康診断のつもりで一度計算してみると、
安定的な経営の為のヒントが得られると思います。