こんにちは、八咲コンサルティングの村上です。

今回のテーマでは、運転資金の構造を規模を押さえることの大切さを
2回にわたってご説明します。

1回目は、大幅な資金繰りに陥ったゼネコンの事例をもとに
資金不足の要因を考察します。

とある地方ゼネコンは、
高度成長期に売上が長期にわたって右肩上がりとなり、
利益以上の多額の余剰資金を抱えることになりました。

この余剰資金で土地を次々に購入し、自社で造成して販売し、
更に利益を積み増しました。

しかしバブルが崩壊して不動産価格が低下、
小泉政権の構造改革によって公共事業が削減されました。

その結果、本業の売上は減少の一途を辿り、
最盛期の半分程度になりました。

購入した土地は売れ残り、
資金化できないまま塩漬けとなりました。

本業の利益は減少し、間接費の削減が遅れた結果赤字に転落。
そればかりか、赤字幅を大幅に超える資金繰り難となったのです。

ゼネコンは売上金の大半を
受注時に前受することの多いビジネスです。

一方で支払いは工事の進捗に応じて少しずつ発生し、
支払いがすべて終了すれば利益だけが現預金として残ります。

つまり、受注時に多額の入金があり、
工事が完了して支払いが終了するまでは
常に余剰の現預金が社内に積みあがっているということです。

これは例えばメーカーと比較すると
資金構造が大きく異なることが分かります。

メーカーは最初に材料を購入し、
労務費・経費をかけて在庫を作ります。

その過程で仕入支払い・労務費支払いが生じます。

完成すれば販売しますが掛け売りで
入金まで1~2ヵ月かかります。

売上金の入金に先立ち多額の支払いが発生する、
つまり運転資金が大きいビジネスなのです。

一方でゼネコンは運転資金がマイナスとなる業種です。

持ち出しが発生せず、売上金の前受により現預金が入ってきます。

利益を超える多額の余剰資金の正体は、
売上の増加とともに大量に流入したマイナスの運転資金であり、
それを投資に回して塩漬けになった結果、
仕入債務を支払う原資を失い、大変な資金繰り難につながったのです。

2回目では、運転資金と資金繰りについてお話をしますので、
よろしくお願いします。