こんにちは、八咲コンサルティングの村上です。
利益が出ているのに現預金がここ数年目減りしている、
逆に、利益が出ていないのに現預金水準は維持できている、
というケースは多くあります。
これは現預金残高というものが、
利益とは別の要素からも影響を受けるためですが、
財務諸表を一見しただけでは分かりづらいものです。
財務の観点では企業活動は大きく3つに分かれます。
・営業活動 (事業運営とそれにかかわる収益やコスト)
・投資活動 (設備投資や株式投資などの投資全般)
・財務活動 (借入金の調達・返済や資本調達等にまつわる活動)
最もベーシックな企業活動とは、
事業活動から得たキャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フロー、以降CFと表記)を設備投資(投資CF)や借入金の返済(財務CF)に回すというものです。
例えば、営業CFで得た資金よりも財務・投資CFで使った資金が少ないと
現預金は積み上がり、多いと現預金は目減りします。
この資金の流れを端的に表す資料にCF計算書がありますが、
作成に知識が必要で解釈も難しく感じる方が多いのではないでしょうか。
では、もっと簡単に3つのCFを数字で把握してみましょう。
まずは、自社は事業から一体いくらの現預金を生み出しているのでしょうか。
損益計算書の経常利益に、以下の数字を加減算してみて下さい。
(加算)
減価償却費、貸倒引当金繰入、貸倒損失、退職引当金繰入、固定資産除却損、有価証券評価損など
(減算)
貸倒引当金戻入、退職引当金戻入、有価証券評価益など
上記は非資金項目と言われ、
損益計算に入るが現預金の出入りを伴わないものです。
経常利益+非資金項目(費用)-非資金項目(収益)で計算されたものを
簡易CFと言います。
※簡易CFから法人税等の実効税率約30%を引いて税引き後簡易CFとすると生み出したキャッシュフローがより分かりやすくなります。
当期の収支からいくらの現預金が得られたかを表す大変使い勝手の良いものです。
収益や費用が現預金残高に反映されるには実際には時差がありますが、
それを無視して、収益分の現金が入り、費用分の現金が出たと考えます。
しかし、損益計算書には現預金の出入りを伴わない収益・費用(非資金項目)が含まれるので、経常利益から差引します。
3期ほど作ると、自社が事業活動で生み出せる現預金の金額を
大体掴むことができます。
CF計算書で言う営業CFとはこの簡易CFに運転資金増減と一部の資産負債増減(未収入金・未払金の出入りなど)を加えたものですが、
実務上はこの簡易CFの方を事業の実力を端的に表す指標として重視します。
次回に続きます。