こんにちは、八咲コンサルティングの村上です。

前回、使い勝手のよい指標として簡易CFをご紹介しました。

PLの経常利益に現金の出入りを伴わない非資金科目(減価償却費など)
を加減算し、ざっくり計算した法人税を引くすることで、
事業から生み出した現預金額の分かりやすい指標となります。

次に、設備投資を見てみましょう。

本社や工場の修繕、機械装置の更新、車両やPCなどの器具備品の追加購入、ソフトウエアの取得など、
会社毎に内容は異なれど、何かしらの設備投資を行っているはずです。

事業からいくらの現預金を生み出したか、の質問に答えるには
これを正確に把握する必要があります。

実は設備投資はPLには減価償却費として上がっています。
しかし、現金の出入りを伴わない為、簡易CF計算時は非資金項目として足し戻しています。

減価償却費はあくまで期間損益を計算するためのもので、
実際のお金の出入りと異なります。


キャッシュの観点で事業を把握するには、
設備投資は減価償却費ではなく、
実際の設備投資額を掴む方がより正確なのです。

簡単に知るには、固定資産台帳の今期取得価格を
科目別に拾ってみるとよいでしょう。
3期ほど拾って平均すると、
毎年どの程度の設備投資を行っているのかが分かります。

これで、事業からいくらの現預金を生み出したかの質問に
答えが出ました。

事業から生み出した現預金=税引き後簡易CF-設備投資額

もし税引き後簡易CFよりも設備投資額が大きい場合、
会社のステージ(創業期、成長期、安定期、衰退期)にもよりますが、
設備投資が会社の利益に比して過大になっています。

仮にPL上は黒字でも、設備投資まで含めた実態は赤字と言えます。

設備投資額を絞るか、事業継続の為に絞り切れないなら
利益を増やす(売上を増やすか費用を減らす)必要があります。

さて、今回計算した数字、
事業から生み出した現預金=税引き後簡易CF-設備投資額

この数字には別の意味合いもあります。

つまり「借入金の返済原資」です。次回に続きます。