こんにちは。八咲コンサルティングの喜田です。
今回は最終回なので、質の高い提案営業を行う上で、最後の応用部分についてご紹介したいと思います。
私の今までのコンサルティング経験の中でも、このセオリーを愚直に実行して、とても大きな受注を獲得したケース、その企業の中で年間売上上位にあたる営業成果が出たケースがいくつも見られました。
そういう意味では、質の高い提案営業を具現化するための大きな武器となるセオリーだと思います。
実はそんなに難しいセオリーではなく、簡単に一言で言えば、顧客をよく知るセオリーということです。
兵法の書籍でも、「相手を知り、己を知れば、百戦危うからず」という言葉があるように、他のライバル他社よりも顧客を熟知して、顧客と同等レベルまでは至らないまでも、ライバル他社と比べると自分が一番顧客をよく知っている、これを愚直に実現するということです。
では、どのように顧客をよく知れば良いのでしょうか。
それは顧客に関するSWOT分析を行い、具体的に整理してまとめることです。
自社や自部門のSWOT分析はやったことがある方は多いと思いますが、顧客に関するSWOT分析をやったことがある方は少ないのではないでしょうか。
私も経験があるのですが、実際にやってみると、まあ書けないことが多いです。
それだけ顧客を知らないということであり、厳しい言い方をすれば、顧客を知ったつもりになっているということです。
「顧客をよく知る」ということを実現して、顧客が抱える問題や課題を一緒に解決するソリューションを明確にするために、「顧客に関する問題解決支援シート」というツールを活用することをお薦めしています。
基本的な構成は、顧客に関するSWOT分析、クロス分析、顧客の目指している姿・戦略の整理、顧客の抱える問題や課題の明確化、それを解決するためのソリューションという流れになっています。
顧客に関するSWOT分析においては、顧客の持つ強みや弱みについて、顧客のライバルと比較した上で、どんな強みや弱みを持つのか、具体的に整理して記入することがポイントになります。
同じように、顧客の置かれている外部環境、機会や脅威についても、ありとあらゆる角度から整理してみます。
この場合もどれだけ具体的に整理して記入できるかがポイントになります。
顧客の目指している姿・戦略においては、インターネット検索や有価証券報告書、営業が持つ特有の情報など、ありとあらゆる情報を活用して整理します。
最近ではHPを持っている企業がほとんどであり、インターネットにおいてキーワード検索すれば、本当に多くの有効な情報を得ることができます。
そのあふれた情報をいかに具体的に整理してまとめることができるか、これが大きなポイントになります。
もし顧客に関する情報が少ない場合は、上記の顧客に関するSWOT分析とクロス分析を通して、ある程度顧客の目指している姿が見えてくるようになります。
顧客に関するSWOT分析(顧客の現状)と顧客の目指している姿が整理できれば、そのギャップが浮き彫りになり、顧客の抱える問題や課題が明確になってきます。
その問題や課題が明確になれば、それを解決するソリューションについて、自社の製品や技術、商品やサービス、ノウハウやシステムなどをいかに活用して、どのように顧客を支援できるか明確にしていきます。
このレベルまで具体的に整理して提案営業を行えば、かなりの確率で受注となるケースが多いようです。
もし今は受注とならないにしても、後は繰り返し試行錯誤、すなわちPDCAサイクルを回しながら、その精度を高めていけば、後のタイミングで大きく受注するというようなケースも多く見られます。
最後に一つ、情報収集の部分で面白いケースがあります。
あるメーカー営業マンのお話なのですが、その営業マンは上司(その会社の課長や部長、取締役)との同行がとても嫌いだったようで、極力そうならないようにしていたそうです。
営業成績はそこそこで、提案営業の実力はあるのに、今一つ伸び悩んでいるよう状況だったようです。
その営業マンは今回の質の高い提案営業のセオリーを学んで、上司との同行をするようになり、顧客の上層部とのお話の中から、顧客の目指している姿、顧客の抱える問題や課題が具体的に整理することができるようになりました。
その結果、見事にその顧客から大型受注を獲得することができました。
その時の感想は、「もっと早くに上司との同行を頻繁にやるべきでした。上司との同行を上手くセッティングしないと、顧客の上層部と会うことは難しく、鍵となる情報も獲得することができないことがよく理解できました。鍵となる情報は顧客の上層部が持っていることが多いので」とのことでした。
とても興味深い話で、当たり前と言えば当たり前ですが、とても核心をついた感想だと思います。
皆さんもぜひ、この「顧客を熟知した質の高い提案営業」のセオリーを実践して、少しでも多くの営業成果を出してほしいと願っています。