オーダーメイド機械製造業の収益性を高めたい
課題認識
一台売れれば大きく儲かるが、繁閑差が大きいオーダーメイド機械製造業に見られる課題を紹介します。
こういった業種では、個別お客様のニーズに合わせて都度の見積・設計・製造を行うため、高い付加価値を提供できます。
しかし、見積を間違ったり、クレームが発生するとあっという間に赤字に転落することがあります。
工場稼働も安定しにくく、最終組立ができる職人が育ちにくいのもこの業態の難しいところです。
A社状況
A社は、年商5億円規模オーダーメイド型の産業機械メーカーでニッチな分野ではあるものの国内トップクラスのブランドを誇っていました。
しかし、近年は廉価な海外製に圧され売上が悪化。案件単価も廉価品にひっぱられ利益が出にくい状況に陥っていました。
診断を行ってみると、製造現場の繁閑差は非常に大きく、人件費負担が大きくなっているうえに設計ミスによる部材余りや行方不明部品を探すムダまで発生していました。
また、オーダーメイドとして開発した技術は1回限りの使い切りで開発費の回収も不十分になっていました。
ソリューション
そこで、「技術も人もフル稼働!」をキーワードにして“設計の標準化”“現場のムダ撲滅”“アフターサービスの強化”の3テーマを2年間かけて推進しました。具体的には、
・設計品番の採番ルール見直し
・ユニット設計によるスタンダード機の開発
・現場の整理整頓と余り部品の撲滅活動
・アフターサービス提供体制の構築
・原価管理の精度向上
・部門別の重要管理指標の設定と改善PDCA
などに取り組みました。
こういった活動を通じて廉価な海外製品の台頭を抑えつつ、工場の稼働を平準化しました。
また、改善PDCAによって数値で物事を判断できるマネージャーが育ち、赤字になりにくい体質を構築しています。
取り組みのポイント
こういった業種におけるソリューションは、技術や人材といった経営資源の稼働性を高めることにあります。そして、その大きなポイントになるのが設計思想から見直すことに帰着します。
設計思想の見直し、知らず知らずのうちに埋没している技術や手待ちになっている人、捨てられている部材に着眼し徹底して使える状態にまで見直すのが営業利益率アップのポイントです。